発行者: VC Fund Controller Network事務局 編集長:ケップルグループ 鈴木瞳
本ホワイトペーパーは、ベンチャーキャピタル(VC)・コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)業界における「ファンドコントローラー」という専門職に焦点をあて、その業務内容、求められるスキル、キャリアパス、そして実務の“リアル”までを包括的にまとめたものです。業界の成長とともにその専門性への注目が高まるこの職種に対し、実務家ネットワークであるVC Fund Controller Network (VCFCN) に集う現職者の声や関連文献をもとに分析を行いました。また、サムライインキュベート様、Archetype Ventures様、JPインベストメント様、Beyond Next Ventures様にご協力をいただき実施したインタビューも掲載しています。本資料が、これからファンドコントローラーを目指す方、あるいは既に従事している方のキャリア形成の一助となれば幸いです。
VC Fund Controller Network(VCFCN)は、VC/CVCにおけるミドルバック・バックオフィス業務に携わるファンドコントローラー同士の情報交換・知見共有のために設立されたコミュニティです。実務上の課題共有、制度変更への対応、スキルアップやキャリア支援に関するディスカッションを通じて、ファンド運営の高度化を支えています。2025年12月現在、全国のVC/CVC関係者が約240名参加しております。
VC Fund Controller Network事務局|note
スタートアップの成長を資金面から支える存在が、VCやCVCです。その多くが、投資事業有限責任組合[1]をはじめとしたファンドの仕組みを使って、機関投資家や事業会社などから出資を集め、主に将来性のあるスタートアップ企業に投資を行い、その成長をともに目指します。成長した投資先の株式を売却し、ファンド出資者にリターンを返すことによって収益を上げる、一巡するまでに時に10年以上にかかるビジネスです[2]。
ファンドの運営には多様なプロフェッショナルが関わっていますが、大きく分けて「フロント=投資業務」と「ミドルバック&バックオフィス=管理・会計・法務・その他コーポレート業務」に整理できます。その中でミドルバックに該当する仕事をしているのがファンドコントローラーという職種です。しかし、細かく見ていくと、はっきりと分けられない、投資実務とコーポレートの橋渡し役の業務が多数存在しています。

ファンドコントローラーが担うのは、ファンド価値の最大化とリスクの抑制という2つの大きな目的の実現を、長期間にわたって数値や仕組みの面から支える業務。VCの会社組織や運営するファンドの規模によって、具体的な役割や業務範囲は変わります。たとえば、創業期の独立系VCでは少人数体制のため、1人が広範囲をカバーする必要があります。一方、経験を重ねたVCや上場企業傘下のCVCでは財務・税務・IRが分業化され、それぞれの専門性をより深めた人材が活躍しています。いずれにしても、投資担当者や経営陣との信頼関係や協調が不可欠な仕事です。
公開されている求人情報やVCFCNメンバーからのヒアリングを基に、以下のような業務が広義のファンドコントローラーの主要業務として整理されました。
📦 ファンドコントローラーの主要な業務(共通項目)